整形外科的手術後の創部感染は、抗生剤治療や再手術に伴う入院期間延長をきたし、時に患者予後にも大きな影響を与える。The Journal of Bone & Joint Surgeryに収載された新しい研究論文では、入院時の骨折特性や患者背景から「脛骨骨折患者の感染リスクを推定する機械学習アルゴリズム」を報告している。
先週オンライン公開された本研究論文によると、1,822名の脛骨骨折患者データからアルゴリズムを導いたという。解析対象群のうち9%にあたる170名は治療を必要とする感染症を発症し、62名は抗生剤治療単独、残りの108名は再手術を伴う抗生剤治療を受けた。ランダムフォレストの変数重要度に基づく変数選択では、感染症発症への予測変数としてGustilo-Anderson分類やTscherne分類、骨量減少、損傷メカニズム、多発外傷、骨折部位、年齢などが特定された。正則化ロジスティック回帰モデルのトレーニングによって、AUC 0.75程度の発症予測精度を得ている。
入院時評価項目から術後の感染症リスクを推定できる本手法では、治療選択の個別最適化のほか、必要となる医療リソースの事前予測と配分の適正化にも貢献し得るため、医療の質的向上と効率化の両面に資することが期待される。