筋骨格損傷のリスクを客観的かつ高精度に予測する費用対効果の高い技術は、アスリートにおける慢性疼痛および傷害予防の観点から長く求められてきた。米ペンシルベニア大学の研究チームは、マクロ波ドップラーレーダーを利用し、「人間の眼では識別不可能なより微細な運動パターン」を検出できるAIアルゴリズムの開発に取り組んでいる。
Gait & Posture誌からオンライン公開されたチームの研究論文によると、全米大学体育協会(NCAA)の協力のもとにこの研究は行われたという。アスリートに裸足でのジャンプ、靴を履いてのジャンプ、およびヒールリフト付きの靴でのジャンプを行ってもらい、マイクロ波ドップラーレーダーによって捉えた信号パターンから、それぞれを識別するAIアルゴリズムを導くというもの。結果、測定条件に関わらず80-100%の高精度な識別精度を示し、マイクロ波ドップラーレーダーとAIの組み合わせによって、微細な運動変化を捕捉できる可能性が示唆された。
研究チームは、傷害予防を前提とした運動パターンの特定に至るためにはさらなる研究が必要としながらも、マイクロ波ドップラーの利用が従来のモーシャンキャプチャでは容易に測定できない差を捉えられる点を強調している。