米ペンシルベニア州フィラデルフィアに本拠を置くトーマス・ジェファーソン大学の研究チームは、外科手術後の脳卒中や腎不全といった重篤な合併症の発現を予測するAIモデルを開発した。各リスク予測モデルは現在、ウェブベースのツールとして無償公開されている。
トーマス・ジェファーソン大学が先週明らかにしたところによると、研究を率いたSang Woo准教授らは、220万人を超える外科患者の臨床データベースを分析し、重篤な合併症に至るリスク因子を検討した。ここから導いた8つの予測因子を用い、140万人を超える患者データから機械学習モデルのトレーニングを行い、どの患者が腎不全を発症し得るかを正確に予測することに成功したという。また、同様にして術後患者の脳卒中や心血管疾患、死亡といった深刻なイベントのリスク予測モデルも構築しており、脳卒中でAUC 0.87、死亡で0.92という高い識別精度を示していた。
これらモデルはウェブベースのツールとして提供されており、医師らによる術前評価の一種としてベッドサイド利用の進むことが期待されている。Woo准教授は「今回の成果によって深刻な合併症の発症を客観的、かつ正確に評価するツールを開発することができた。次はこれらリスクを効果的に低減するための方法を調査していきたい」としている。