2030年までに精密医療市場は7388億ドル規模に

個別最適治療を実現するPrecision Medicine(精密医療)は、深層学習技術の飛躍的向上を背景として広がりをみせる。究極のオーダーメイド治療を志向する当該領域のプレイヤーたちは、日々新たな話題を提供している(過去記事1, 2, 3, 4)。P&S Intelligenceが公開した最新の報告によると、この精密医療市場は2030年までに7388億ドル規模に成長するとしている。

P&S Intelligenceによる29日付ニュースリリースによると、世界の精密医療市場は2020年から2030年の間、CAGR 12.1%の急激な成長を見込むという。COVID-19のパンデミックは成長ドライバーとして重要な要素となっており、個別化された効果的な治療法への需要が急速に高まったことに言及している。実際、関連領域の研究開発は日々加速をみている。また、同レポートでは「今後数年間で、精密医療市場で最高のCAGRを記録するのはアジア太平洋地域」としており、領域における政府および民間資金の増加、医療インフラの改善、購買力の高まりが市場を推進するとのこと。

歴史的には、がん・心血管疾患・糖尿病・高血圧など、慢性疾患および生活習慣病の罹患率が高く、巨大な可処分所得を抱える北米が最大の精密医療市場であった。AIに関する高水準の技術ホルダーは、国・地域・組織規模を問わず散見されるようになり、技術が新たな医療需要を地域に創出する例もみられるようになった。日本発の取り組みが世に示され、アジアの成長を牽引することにも期待したい。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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