牛肉は世界で最も消費される食品の1つであるが、発展途上国を中心として地域によってはその鮮度管理が十分でなく、住民は健康被害のリスクに曝されている。一方、化学分析や専門家評価にはコストと時間がかかり過ぎ、人的リソースの確保も容易ではない。
韓国・光州科学技術院(GIST)の研究チームは、ディープラーニングと比較的安価な光学技術である拡散反射分光法(DRS)を組み合わせ、既存の近赤外分光法に基づく非破壊アプローチを代替し得る新たな検査手法の開発に成功した。Food Chemistryからオンライン公開されたチームの研究論文によると、DRS測定によって牛肉中のミオグロブリン形態を種々観察し、その比率を算出することでの鮮度推定を実現している。ミオグロブリンとその誘導体は、分解過程において主要な役割を果たすタンパク質として知られる。
研究チームは「他の分光法と異なり、DRSは複雑なキャリブレーションを必要としない。手頃な費用で構成できる分光計によっても、分子組成の一部を定量するために十分に利用できる」とする。チームは、誰もが自宅においてさえ鮮度評価を手軽に行えるよう、小型で持ち運び可能な分光装置を開発できるとも考えており、今後の展開に注目が集まっている。