米カリフォルニア州サンフランシスコに本部を置くNPO・Mozilla Foundationは、このほど公開したレポートの中で、YouTubeのレコメンデーションアルゴリズムが「COVID-19の誤情報」を推奨することで、その拡散の一助となっている事実を指摘した。
「YouTube Regrets」と題された同レポートは、37,000人を超えるYouTubeユーザーに対し「誤った情報、暴力、または憎悪を含むコンテンツ」を報告させ、これを分析したもの。ユーザーはブラウザの拡張機能を使用して該当コンテンツを報告し、英エクセター大学の研究者らが解析を担当したという。結果、報告されたコンテンツの71%が「YouTubeのアルゴリズムによって推奨されたもの」であることを明らかにした。さらに、報告されたコンテンツは、その他の一般コンテンツに比較して1日あたり70%多く再生されていた。
NBC Newsの取材に対してYouTubeは「我々はユーザーエクスペリエンスの向上に絶えず取り組んでおり、過去1年間だけでも、有害なコンテンツの推奨を減らすため30を超える修正を行った。これによって境界コンテンツの消費量は1%を大幅に下回っている」としている。YouTubeの膨大な情報ボリュームからみた1%が十分に巨大であること、またCOVID-19が人類未曾有の公衆衛生的課題であることを鑑みれば、誤情報に基づく望ましくない行動変容や意識変化の惹起は全く看過できない。ここでは運営者としての良心ではなく、巨大プラットフォーマーとして欠くことのできない社会的責任が問われている。
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