患者が自分自身の医療記録にアクセスする権利は保障されている。しかし、それによって自動的に「内容の理解や適切な健康上の意思決定」ができるようにはなるわけではない。その課題解決のため、医療記録へアクセスする患者の「健康に関するリテラシーを向上させる自然言語処理AIツール」が研究されている。
米ノートルダム大学のニュースリリースによると、同大の研究チームは電子カルテの理解度を確認するツール「ComprehENotes」を開発し、医療用語を患者向けに翻訳し理解を助けるツール「NoteAid」の有効性を検証した。マサチューセッツ州の地域病院から募集された試験参加者はComprehEnotesのテストを受ける際に、NoteAidでテキスト上にマウスカーソルを置くと医療用語の定義が表示されるという介入を受けた。その結果、介入なしの対照グループよりもNoteAid介入群ではComprehENotesテストでの理解度スコアが有意に高かった。研究成果はJournal of Medical Internet Research誌に掲載されている。
同研究は、教育レベルの低い患者を含む地域病院であってもNoteAidが有効であることを示唆する。自然言語処理ツールが患者の健康リテラシーを向上させる証拠を得て、研究チームのJohn Lalor氏は「患者の読解レベルを考慮してツール内の辞書を評価できれば、専門用語として辞書に載せるべきものと、珍しく理解できない用語であっても患者の理解度にとって重要ではないものを取捨選択できるようになる」と語っている。
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