遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC: Hereditary Breast and Ovarian Cancer)を心配する患者が、クリニックで初めての遺伝カウンセリングを受ける際には高い障壁がある。来院に先立つ情報収集により、患者家族における全てのがん病歴を聴取するために長時間を要したり、初めて提供されるカウンセリングの情報量に圧倒されて遺伝子検査を受ける決断ができないこともある。
シンガポール国立大学がん研究所(NCIS)は25日付のリリースで、遺伝性がんのリスクを抱える女性に対して、対話型AIチャットボット「Angie」をメッセンジャーアプリWhatsApp上で提供開始したことを発表している。Angieとのコミュニケーションによって、遺伝カウンセリング前にHBOCそのものや遺伝子検査の役割についてを学べ、家族の病歴をより簡便に自由なタイミングで入力できるようにするなど、遺伝カウンセリングのプロセス変革を志している。
同研究所と提携しAngieを開発したヘルステックAIスタートアップ「Bot MD」のCEOであるDorothea Koh氏は「開発にあたり、HBOCリスクのある患者にとって親しみやすいものとするため、WhatsAppのような誰もが簡単にアクセスできる便利なチャットプラットフォームを通じて提供しようと考えた」と語る。現在、同サービスを他アジア諸国にも拡大していくことが検討されている。
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