医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例最新医療AI研究英オックスフォード大学BDI - 人類最大の家系図を描出へ

英オックスフォード大学BDI – 人類最大の家系図を描出へ

英オックスフォード大学ビッグデータ研究所(BDI)の研究者らは、人類における遺伝関係の全体像、すなわち「全ての人々の祖先を辿る単一の系譜」をマッピングするための大いなる一歩を踏み出した。研究成果はこのほど、Scienceから公表されている。

過去20年間、ヒトの遺伝子研究は驚異的な進歩を遂げ、数千人に及ぶ先史時代の人々を含む数十万人分のゲノムデータが作成された。これにより、人類の遺伝的多様性の起源を辿り、世界中の人々が互いにどのような関係にあるのかを示す「完全な地図」を作成できる可能性が出てきた。これまで、これを実現するための主な課題は、1. 多くの異なるデータベースからゲノム配列を組み合わせる手法を開発すること、および、2. このサイズのデータを処理するアルゴリズムを開発することだった。一方で、BDIの研究者らがScienceに発表した新しい手法では、複数ソースからのデータを容易に結合し、数百万のゲノム配列に対応する規模に拡張することができる。

BDIの進化遺伝学者で、本論文の主執筆者の一人であるYan Wong博士は、「我々は巨大な家系図を構築した。これは、今日の人類に見られる全ての遺伝的変異を生み出した歴史を、できる限り正確にモデル化した全人類の系図と言える。これによって、全ての人の遺伝子配列が、ゲノムの全ての点に沿って、他人とどのように関連しているかを把握することができる」と述べる。なお、当該研究者らによるYouTube上の解説動画も参照のこと。

関連記事:

  1. AIにより「遺伝子変異の病原性」を定量
  2. 全ゲノムシーケンス分析 – 13の新しいアルツハイマー病遺伝子が明らかに
  3. 薬剤耐性菌の広がりを予測する機械学習モデル
  4. がん細胞から治療反応を予測
  5. 唾液タンパク質データベースが個別化医療を変革する
TOKYO analytica
TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
RELATED ARTICLES

最新記事

注目の記事