パーキンソン病は主症状の運動障害などから診断に至るが、厳密な意味での確定診断は死後の脳組織評価を要する。生前から確定診断するため、末梢神経内でのα-シヌクレインと呼ばれるタンパクの蓄積(末梢レビー型シヌクレイン症)を免疫染色で同定する手法の有効性が模索されている。米マウントサイナイヘルスシステムからスピンアウトした企業「PreciseDx」(過去記事参照)では、AIデジタル病理技術によって、パーキンソン病を末梢神経組織から生前に確定診断する技術開発を行っている。
PreciseDxの最新の研究成果は、Acta Neuropathologica Communicationsに掲載されている。本研究では、唾液腺の末梢神経を採取した生検標本から、末梢レビー型シヌクレイン症を特定するAIアルゴリズムを開発した。その結果、感度99%・特異度99%で病理学的な特徴を抽出することができたという。また、臨床的なパーキンソン病の病態予測においては、病理医の精度64%に対し、AIシステムは精度69%と有意に上回っていた。
マウントサイナイ・アイカーン医科大学のJohn F. Crary教授は「人力による評価と異なり、AI手法は数千もの特徴を解析し、その特徴間の関係性を活用できる。本研究は病理学についての考え方に新たな一面を加えるもので、パーキンソン病などの疾患をより正確に検出するためには、AI活用にも注力する必要があることを示している」と語った。
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