e-bikeをご存知だろうか。近年、北米・欧州を中心として急激なマーケットの成長をみている「新しい自転車」だ。日本では電動ユニットによる走行補助を行う「電動アシスト自転車」が中心だが、他国では完全電動自転車も含めて大きな普及をみせている(日本で完全電動車を公道で走らせるためには、保安部品を付けた上でナンバーの取得が必要)。街乗りに用いるシティサイクルだけではなく、エクササイズやスポーツ目的のe-bikeも多数登場しており、著名なロードバイクメーカーが領域参入するなど、話題を欠かない。
新型コロナウイルス感染症の拡大を背景として、人混みや交通渋滞を避けながら利用できる「健康的な交通手段」としてe-bikeは大きな注目を集めた。体力の乏しい中高年者や身体的に制限のある人々も取り込み、e-bikeは通勤・レジャー・スポーツと、その活躍の場を広げている。実際、パンデミック以降、米国では公共交通機関の利用が70%以上減少した一方、e-bikeの販売台数は前年比25%以上の伸びを記録している。これまでも「自転車の健康メリット」は多数科学的エビデンスが示されているが、疾患単位での健康影響も評価が進むようになった。カナダ・マクマスター大学による直近の研究では、低負荷であっても定期的なサイクリンング習慣が、筋強直性ジストロフィー患者の運動機能を向上させることを示し、予後を改善する可能性があることを指摘している。
e-bikeではスマートフォン連携も積極的に進められており、車体診断やナビゲーション、施錠解錠などは一般的になりつつある。また、ウェアラブルデバイスとの相性も良く、今後は走行データに加えて、身体機能および運動データを継続的に取得するプラットフォームとしての発展も期待できる。The Medical AI Times編集部は自転車をこよなく愛しており、どのような形であれその裾野が広がり、市民の健康増進に資することを期待しつつ、業界の動向を見守っている。