前立腺がんの早期発見にAI技術を役立たせる試みが続くが、採取される検体、画像のスキャン方法、そして患者集団には大きな差異があり、アルゴリズムをあらゆる状況に普遍的に適用することは容易ではない。よりパフォーマンスの高い堅牢なAIモデル構築を目指し、スウェーデンのカロリンスカ研究所を中心とした国際研究グループは、前立腺がんの病理診断を等級分けするAIシステム開発の国際コンペを主催してきた(過去記事参照)。
コンペの成果は欧州泌尿器科学会(EAU)2022年次総会で発表された。グループは「AIによって患者の健康を向上させるには、国際協力体制の構築が唯一の手段である」とした上で、責任あるアルゴリズムの臨床導入に必要となる4項目を明らかにした。1.スキャナーのキャリブレーション:どこでスキャンしても同じセットアップが出来ること。2.アルゴリズムの改善:先端のAI手法を活用し、堅牢で幅広い適用性を確保すること。3.データのアップスケール:モデルトレーニングのための大規模な国際的データセットを提供すること。4.形態学的不均一性のモデル化:同一疾患の中で異なるサブタイプを調べること。
カロリンスカ研究所のNita Mulliqi氏は「AIは大きな可能性を秘め、あらゆる患者に恩恵をもたらすが、その達成には技術的アプローチ、そしてばらつきのある患者データを収集する国際的な取り組みが必要だ。我々のプロジェクトは、臨床医と患者に大きな変革をもたらすために、どれだけの協力が必要となるかを示している」と語った。
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