嚢胞性線維症(CF: cystic fibrosis)は、常染色体劣性遺伝の希少疾患で、生後間もない時期から粘膜の機能障害により肺炎や気管支炎を繰り返す。米国では約35,000人が罹患する一方、日本では出生約60万人に1人程度であるなど、有病率として人種差が大きいことも知られている。近年、本疾患にもAI技術の適用が進み、個別化された診断手法や新規治療法の探索、遺伝子変異と治療薬のマッチングなどが模索されている。
医療AIプラットフォーム開発を手掛ける「Epistemic AI社」は、CFを専門とする研究者および臨床医に対して同社技術を提供するため、米シンシナティ小児医療センターとの戦略的パートナーシップの締結を発表した。Epistemic AIのプラットフォームは、疾患の知見同士を結びつける「ナレッジマップ」、医薬品と疾患を結びつける「ドラッグディスカバリー」、国際共同治験の「トライアルマップ」、ゲノム情報を探索する「オミックス解析」から構成されている。
今回の提携に先立って、2021年秋から医療センターのスタッフ40名以上に対し、プラットフォームのデモンストレーションを重ねてきた。Epistemic AIのCEOであるStefano Pacifico氏は「当社のAIプラットフォームは、複雑な技術と人の知能とを統合することで研究を劇的に加速し、CF患者に多大な恩恵をもたらすだろう」と述べる。
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