「入院ベッド数の需要」を予測するAIツール

病床管理の失敗によって、患者の病状として「最適ではない病棟」へ患者が入院すると、入院の長期化や医療過誤リスク、予後悪化といった悪影響が生じる。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のチームは、救急外来からの入院数を予測するAIツール開発を行い、病床の需要管理に役立たせようとしている。

Nature Digital Medicineに掲載された同研究では、救急部に到着した患者のリアルタイム電子カルテデータから、「4時間後と8時間後に必要となる病床数を予測する機械学習モデル」を開発した。同ツールはその日全体で必要なベッド数を単一の数値で予測するのではなく、「必要ベッド数の確率分布」を示し、1日に4回担当者にメールで通知する。管理担当者が従来利用していたベッド数予測ベンチマークは、過去6週間の同じ曜日の必要ベッド数の平均値に基づくものであった。これらを比較したところ、従来手法は予測数と実際の入院患者数で平均6.5人の誤差があったが、AIモデルではその誤差が平均4.0人となり、予測精度として有意に上回った。

著者でUCLのSonya Crowe教授は「これまで、ヘルスケアにおけるAIアプリケーションのほとんどは、臨床的な問題に焦点を当てられていた。我々が開発したツールはヘルスケアの運用面を支援することを目的としている」と語った。現在同ツールは、パンデミック後のデータを適用することでモデルのさらなる改良が進められている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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