医療チームによるAIベースのツール採用がいかに進むかは、実用面および倫理面の多様な懸念とともにある。現時点で医療専門家がどうツールを評価し、どう使用するかに関する「最善の準備方法」についてのコンセンサスは得られていない。
このような状況を受け、米ヴァンダービルト大学メディカルセンターとIBMワトソンヘルスは、全米の専門家を集め、「医療従事者のためのAI関連臨床コンピテンシー」を定義することに決めた。このグループによるコンピテンシーステートメントと研究報告書はこのほど、Academic Medicineに掲載された。同報告では、米国内15人の専門家を選び、医療現場でのAIベースのツール使用に関する構造化インタビューを実施した。インタビュー結果に基づき、コンピテンシーステートメントのドラフトが専門家に提供され、フィードバックを受けた後、最終的には研究チーム8人のメンバー間のコンセンサスに基づいて決定された。
ヴァンダービルト大学のRegina Russell助教授は「インタビューにおいて、専門家らは楽観的な意見と慎重な意見を混在して保有していた」とした上で、「彼らは、健康をサポートするこれらの新しいテクノロジーの大きな可能性を認識しているが、AIベースのツールが展開される際のバイアスや公平性の問題について、注意する必要性を繰り返し表明していた」と話す。AIベースのツールが、モデルトレーニングに際して「使用されるデータ内に存在するバイアスを悪化させる可能性があること」は広く理解されている。同時に、あらゆる種類の健康格差が長い期間において、我々の医療制度と社会に焼き付いている事実があるため、医療従事者はこれらのツールを適切に扱うための基本的な知識、スキル、態度を身につける必要があることを強調している。
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