認知症AIコンペ「Longitude Prize on Dementia」

Longitude Prize on Dementiaは、アルツハイマー病協会や英国政府機関であるInnovate UKが主導するグローバルな認知症ソリューションコンペで、2022年9月の募集開始後175のエントリーが確認されている。総額434万ポンド(約7.13億円)の賞金が設定される同賞は、認知症を患う人々がより長く、質の高い生活を自立して送るための「パーソナライズされたソリューション」を求めており、機械学習ベースの技術を対象とする。

現在、英国から89件、米国から27件、その他欧州諸国やアフリカ、アジアなどから多数のイノベーターらからの応募があるという。ウェアラブルカテゴリには、ストーリーテリングAIと顔認識により記憶の回復を支援するスマートグラス、人がいる環境を学習することでルーチンを促すスマートグローブ、スマートフォンと連携し日常活動の管理を支援するアクティビティトラッカーなどが含まれる。認知的介入カテゴリには、認知スキルを訓練して記憶障害の進行を防ぐソフトウェア、認知症患者に有用な合図やプロンプトを提供するための回想機会を備えたバーチャルリアリティゲーム、生活スキルや脳機能の維持と低下速度の低減を支援するゲームなどがある。家庭用テクノロジーと身体的補助カテゴリには、家庭用アバターとAIチャットコンパニオン、うつ病や睡眠不足を緩和しウェルビーイングを向上させるためのパーソナライズされた室内照明、環境を安全に移動するためのナビゲーションと歩行補助器具などとなる。応募の半数以上(57%)は企業が主導し、18%は大学や研究機関の学術チームリーダーが率いるものという。

175の応募技術は審査を経て、本年末には23のチームが8万ポンドのディスカバリー賞を得てソリューション開発に進む。また、その中から5チームは2024年に30万ポンドの助成金を獲得、さらに1チームは2026年に100万ポンドの最優秀賞を受賞する予定となっている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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