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BioBeat – ウェアラブルデバイスによる健康状態悪化の早期警告

イスラエル発の医療AIスタートアップ「Biobeat」(過去記事参照)は、ウェアラブルデバイスによる非侵襲的患者モニタリングシステムを提供している。患者の状態悪化を早期に警告するツールとして、同社はスコアリングシステム「MPRT-WS(マルチパラメーターリアルタイム警告スコア)」を開発した。

Frontiers in Physiologyに掲載された同システムの研究成果によると、MPRT-WSは、胸部に装着する使い捨てパッチ(光電式センサー)から、血圧・心拍数・呼吸数・酸素飽和度・体温・心拍出量・血管抵抗など9つのバイタルサインを最大72時間に渡って収集し、健康状態の悪化リスクを「Low」「Medium」「High」「Urgent」の4段階に分けてフラグを立てる。リスク予測の性能は、従来の標準的な早期警告スコア「NEWS: National Early Warning Score」と比較された。521名の参加者で検証した結果、実際に状態が悪化した39名のうち30名に対して、MPRT-WSは「High」または「Urgent」のフラグを平均42.7時間前に通知できた。一方、NEWSで「High」スコアに分類されていたのは39名中6名とごく一部に留まっていた。

共同研究者のDean Nachman医師によると「NEWSのような従来の早期警告スコアは、通常1日に1〜2回しか収集されない頻度の低い測定データに依存しており、スタッフはバイタルサインを得るため複数の測定を行う必要がある。ウェアラブルデバイスをベースにした新しい早期警告アルゴリズムには大きな臨床的有用性がある」と語った

参照論文:

Developing a real-time detection tool and an early warning score using a continuous wearable multi-parameter monitor

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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