脳血管疾患(CeVD)は高齢化社会において深刻な健康課題であり、発症前の早期介入が予後改善に不可欠とされる。しかし従来の診断はMRIやCTなど高額機器を要する病院中心のアプローチに依存しており、日常生活における継続的なモニタリングには限界があった。研究チームは、在宅IoTセンサーとAIを組み合わせたフレームワークにより、CeVDの前駆期にある高齢者をリアルタイムで同定し、診断リスクを予測できることを示した。韓国の研究チームらが、npj Digital Medicineに発表した。
研究では、独居高齢者向け見守りサービスを利用する1,224人を対象とし、健康対照群598人、脳血管疾患既診断群598人、追跡中に脳梗塞または脳出血を発症した前駆群28人を解析した。寝室や居間に設置された人感センサー、玄関ドアセンサー、室内温湿度センサーから収集したデータを14日単位で集約し、身体活動、睡眠パターン、室内環境指標を抽出した。複数の機械学習モデルを比較した結果、表形式データに特化したTabNetが最も高い性能を示した。モデル解釈では、前駆群の特徴として就寝準備時間帯の連続活動増加、非活動時間短縮、睡眠開始時刻の遅延などが重要因子として抽出された。また、発症が近い前駆群では夕方から夜間の活動低下や非活動時間増加、室内湿度の変化がリスク上昇と関連していた。
研究チームは、本研究が病院外の日常生活データから脳血管疾患リスクを捉える可能性を示したと述べている。特に独居高齢者では、脳卒中の前兆や症状の進行が周囲に気づかれにくく、受診の遅れにつながることがある。今回の研究は、睡眠や活動パターンの変化がデジタルバイオマーカーとして活用できる可能性を示唆するものであり、AIとスマートホーム技術を組み合わせた継続的な在宅モニタリングが、早期受診や予防的介入を支援する手段となる可能性がある。今後は外部データセットを用いた前向き検証や血圧・心拍数などの生理指標との統合による精度向上が課題として挙げられている。
参照論文:
AI home monitoring for behavioral markers of cerebrovascular disease
関連記事:





















