高速MRIの粗い画像をAIが再構築

ニューヨーク大学とMeta AI Research(旧Facebook)による新しい研究により、高速MRIで撮影した比較的粗い画像を、AIを用いた再構成によって「従来のMRIで生成されたものと同等の診断価値」を持つ高品質な画像に置き換えられることを示した。

17日にRadiologyから公開された研究論文によると、2020年1月から2021年2月の間に、合計170人の研究参加者が、従来のMRIプロトコルに続き、高速AIプロトコルを用いた膝の診断用MRIを受検した。各検査は6人の筋骨格系を専門とする放射線科医によって検討され、半月板や靭帯の断裂兆候、骨髄や軟骨の異常がないかを確認した。画像を評価する放射線科医は、どの画像がAIで再構成されたかを知らされず、また想起バイアスの可能性を抑えるため、標準画像と高速撮影画像の評価は少なくとも4週間間隔を空けて行われた。結果、放射線科医らは「AIで再構成された画像は従来の画像と診断上同等であり、断裂や異常を検出することができる」と判断しており、高速スキャンの全体的な画像品質は従来画像よりも有意に優れているとしていた。

ニューヨーク大学で放射線医学助教授を務めるPatricia M. Johnson氏は、「本研究は、AIによる高速化画像の臨床応用に向けたエキサイティングな一歩だ」と述べ、まさに将来のさらなる革新と進歩への道を開くものとして、技術の発展と臨床導入への期待感を明らかにしている。

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