米国では、臓器移植待機リストに10万人以上の患者が登録され、年間約65,000人が新規登録し、2022年では42,000人以上が移植を受け、そのうち肺移植は2,600人であった。米国の臓器移植ネットワーク(UNOS)は、2023年3月9日以降、肺移植患者への臓器割り当てをAI/機械学習に基づいた新システムでの運用を開始した。
新システムは、MITスローン経営大学院の協力で開発されており、これは移植マッチングに考慮される全ての項目を単一の加重スコアに包含し、同時に評価することができるというもの。従来のシステムによる移植候補者の優先順位付けは、臓器適合性、候補者の緊急性、移植病院までの距離、といった個別の項目を順番に適用して候補を決定するが、手法的な限界によって多数の格差が生じていることが問題視されていた。新システムはAI駆動により、移植患者の転帰について項目間でトレードオフ関係を考慮した調整が可能になり、より効率的で公平な臓器割り当てを設計したとしている。この新システムの採用により、移植待機中および移植後の死亡率を減らすことが期待される。
MITスローン経営大学院のNikolaos Trichakis氏は「新システムは血液型や体格、性別、人種、年齢層、地域の各項目に渡って、より公平であることが予想される」と語る。本システムの基礎研究はINFORMS Journal on Advanced Analyticsの2023年9-10月号で発表予定となっている。
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