医学生の教育において、患者とのコミュニケーション能力の育成は、座学よりも取り組みにくい分野となっている。臨床実習を開始する前の段階で、専門の役者を活用した診察練習は一定の価値を持っているが、それに伴うコストや機会の制約は否めない。この課題を解決するため、カナダ・カルガリー大学の医学生らは、「OSCE-GPT」という、AIによる患者コミュニケーション教育アプリを立ち上げた。
生成AIに基づくOSCE-GPTアプリでは、いくつかの事例からバーチャル患者を選択し、音声認識やテキストを介した対話練習が可能。対話が終了すると、他に有効な質問例と共に学生へのフィードバックが即時に提供される。レジデント医師の専門的意見を取り入れながら開発が行われたこのアプリは、公開から1か月でカナダ国内だけでなく、米国や欧州、インド、サウジアラビアを含む世界中から550名以上の研修生が登録を行っている。
開発者であるカルガリー大学医学部2年生、Eddie Guo氏は、「患者役を務める役者は確かに素晴らしいが、その利用は高額でもある。初期の医学生にとって、患者との対話の練習機会は恵まれていない。このアプリはそのような背景から誕生したものだ」と語った。
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