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スマートフォンで眼からパーキンソン病を識別するAIシステム

パーキンソン病はふるえや緩慢な動作、筋の固縮、姿勢保持障害などを主症状とする神経変性疾患で、日本においては厚生労働省の指定難病に該当する。このパーキンソン病を運動症状からではなく、眼底の画像解析によって初期徴候を捉えようとする試みが、米フロリダ大学の研究チームによって進められている。

権威ある学術団体・北米放射線学会(RSNA)のプレスリリースとして公表された同研究では、特殊なレンズを搭載したスマートフォンによって眼底画像を撮影し、このデータベースを活用してサポートベクターマシン(SVM)をトレーニングしたという。導いた最良のAIモデルは網膜の微小血管変化を補足することで、パーキンソン病を高精度に識別できる事実を明らかにした。

従来の視触診を中心とした運動症状からのパーキンソン病診断では、中枢神経系への重大な変化を来した後にのみ有効となることが多く、疾患プロセス後期へのアプローチには介入的限界も指摘されていた。本研究は高度な専門機材を要さない新しい早期診断手法を確立し得る点から、革新的研究成果となる可能性がある。またこのアプローチは、アルツハイマー病や多発性硬化症といった他の神経変性疾患における拡張可能性も示唆するものでもある。意欲的な読者からの挑戦にも大いに期待したい。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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