イタリアの医学腫瘍学会(AIOM)によるとCOVID-19パンデミックの影響で、同国における診断目的の初診は30%減少し、定期診察を含む受診全体では36%減少したと報告されている。がん患者の健康管理をサポートするため、イタリア拠点のスタートアップであるPatchAi社はAIベースの健康管理プラットフォームを展開している。
MobiHealthNewsが16日付で報じたところによると、PatchAiは製薬大手のRoche Italiaと提携し、がん患者のためのバーチャルプラットフォームPatchAi for Smart Health Companion(SHC)を立ち上げている。SHCにはAI/機械学習を用いた患者に共感的な会話を行う仮想アシスタントが埋め込まれている。また、患者の日記の追跡と共有、服薬などのアドヒアランス管理、リアルタイムのビデオ相談といった各種機能を通じて、がん患者へのケアをサポートする。PatchAiによる予備研究では、同プラットフォームによって治療プロトコールの遵守率は95%に達しており、紙ベースの方法と比較して最大9倍の改善を示したという。
PatchAiは2021年初頭に170万ユーロの資金調達ラウンドを完了し、創業以来2年で256万ユーロを調達したこととなる(PatchAI社プレスリリース参照)。イタリアのヘルステックスタートアップのトップ5社では、他4社の調達金額の合計が520万ユーロであることを考慮すると、PatchAiに対する注目度の高さがうかがえる。PatchAiとロシュのパートナーシップが、イタリアにおける医療のDXを推進し「patient centricity(患者中心主義)」への道を拓いていくことが期待されている。