メラノーマ識別AIが実臨床に果たす役割 – ICCV 2021より

最も悪性度が高いがんのひとつで、皮膚科領域の重要疾患である「メラノーマ(悪性黒色種)」をAIで診断する試みが盛んになっている。米国内で年間1500万件以上実施される皮膚生検は、減少傾向にある診療報酬と相まって、検査室の負荷を増大させている。皮膚がんの分類・識別にAIを導入することで、医療リソースとワークフローを最適化することは課題解決の鍵と期待されている。

Proscia社過去記事参照)は病理標本からメラノーマを自動検出するAIを開発しており、10月11日〜17日に開催されるコンピュータービジョン分野で最高峰の国際会議 ICCV: International Conference on Computer Vision 2021で最新の研究成果を発表する。トーマス・ジェファーソン大学とフロリダ大学で実施した前向き研究では、1,422件の皮膚生検を対象にProsciaのAIの性能が検証された。その結果、浸潤性メラノーマと非浸潤性メラノーマを感度93%・特異度91%で識別できた。また、基底細胞がんはAUC 0.97、扁平上皮がんはAUC 0.95の精度で分類できた。同研究成果はarXivにも掲載されている。

当該AIが「実際の臨床現場で発揮する能力として画期的」であることを研究チームは強調している。Proscia社のJulianna Ianni博士は「私たちのAIはメラノーマの特定だけではなく、疾患のバリエーションを考慮し、医療におけるディープラーニングの限界を押し広げるものだ。これにより、病理医がより早くより一貫性のある診断を行うことができ、患者の転帰改善に大きな貢献が出来ると期待している」と述べている。

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