増加の一途といわれる花粉症とアレルギーは、患者・医療機関の双方にとって多大な負担となる。花粉への曝露を避けるためマスクの装着や屋外活動を控える、抗アレルギー薬を内服するなどの対策を行っても、生産性の低下による社会影響も少なくない。今回は、AIによる花粉症・アレルギーへの取り組みを紹介する。
スイスのメディアSWI swissinfo.chによると、スイス連邦気象局(MeteoSwiss)はリアルタイム花粉監視ネットワーク技術で欧州をリードしている。全土に配置されたシステムは、レーザー光を通過した花粉の大きさや形から仮想ホログラムを作成し、AIアルゴリズムで花粉の組成分析と植物種の特定が可能とのこと。同局は花粉症患者の屋外活動指標と予防治療への活用を目指している。
米IT企業doc.aiによる、自撮り写真から疾患リスクを予測するAIシステムは以前にも紹介した(過去記事)。米Forbesによると、米国大手医療保険会社Anthemはdoc.aiと、アレルギー疾患への応用を共同研究中とのこと。花粉症・アレルギーについて個別化された状況をAIが解析し、社会全体の医療負担軽減を目指す取り組みが始まっている。「あなたに有害なスギ花粉が近くに到達しているので屋外活動を控えて下さい」「顔にアレルギーのパターンが出ているので内服が必要です」など、AIが教えてくれるようにになるのかもしれない。