日本をはじめとする先進各国で、高齢化の進展は著しい。認知症対策が急務となった昨今、AIを利用した認知症予防・早期発見への取り組みも目立っている。オランダ・アムステル大学の研究チームは、機械学習を利用し、前頭側頭型認知症の予測アルゴリズムを開発した。
Journal of Alzheimer’s Diseaseに先月掲載された論文によると、脳MRI画像の灰白質(神経細胞の細胞体が存在している部位)ボリュームから、前頭側頭型認知症を識別するAIアルゴリズムを導いたという。研究に用いたデータ数の少なさは否めない一方、研究チームは「機械学習を利用することで、前頭側頭型認知症の早期診断に結び付けられる可能性を示した」としている。
前頭側頭型認知症は行動障害や人格障害を伴う認知症として知られるが、比較的緩徐な進行であるために見逃されることも多い。患者は反社会的行動を取ることもあるため、早期診断によるケア体制の確保と福祉的対応が欠かせない。英国での「AI技術で認知症高齢者を守る取り組み」も先月紹介しているので参考にしてほしい(過去記事)。