医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例医療AIがもたらす影響・問題点ヘルスケアに加速するAmazon - 個人健康情報は商用利用されるのか

ヘルスケアに加速するAmazon – 個人健康情報は商用利用されるのか

英国では国民保健サービス(NHS)の協力のもと、Alexaから医療情報を提供するサービスを開始する。偏頭痛への対応から水痘の症状まで、家庭における気軽な健康アドバイザーが実現することになる。しかし一方、このAmazonと国営事業との連携には、個人情報の取り扱いを巡る危険性を指摘する声もあがっている。

Los Angeles Timesのコラムでは、今回の連携と新サービスに際してAmazonが大量の個人健康情報を収集する可能性を指摘している。Amazonはこの連携によって、金銭的授受のないことを明らかにしているが、NHSは6600万人を超える英国民が利用する国営保健サービスであり、連携の先に見据える新しいビジネスチャンスは決して小さくない。Amazonのスポークスマンは、全ての情報が極めて厳格に取り扱われること、取得情報を第三者に提供しないこと、健康情報に基づく商品販売やリコメンドを行わないこと、などを明確にしている。

健康関連情報は極めて高度な個人情報にあたり、一企業の良心にその取り扱いを委ねることの危険性は常にある。新サービスの有効性には、医療関係者を含め多くが期待を寄せる一方、情報管理の適切性については第三者機関による継続的な調査が欠かせないだろう。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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