AIに対する見方は、医師の専門領域によって温度差があるか?自然言語と親しみが強いが、病気の診断では定量評価が難しい場面が多いとされる精神科ではどうだろうか?世界150カ国で医師向けのSNSを展開しているSERMOが、デューク大学とハーバード大学の精神科医たちと協力して、精神科医のAIに対する意識調査を行った。
Psychiatric Timesでは、22カ国791名の精神科医に行われた調査結果を紹介している。興味深い結果として「AIが精神科医の仕事を時代遅れにすると思う(4%)」「AIがヒトの共感的なケアを置き換えると思う(17%)」「男性(35%)よりも女性精神科医(48%)の方がAIの利点がリスクを上回るか不確かと思う」「他国(32%)よりも米国の精神科医(46%)の方がAIの利点がリスクを上回るか不確かと思う」といったものが挙げられる。多数が同意したAIにより代替されるタスクは2つのみ、「医療記録の更新など患者情報提供(75%)」「診断に至るための患者情報の統合(54%)」であった。
精神科医と他の専門領域を直接比較した調査ではないが、全般として非常に保守的な集団の意見を反映していると言える。調査からはAIに対する疑いと不確実とみなす思いが表れている。これは精神科医が人間同士の相互作用と、個別化された専門的分析に高い自負を持っている証拠でもある。しかし、一方で回答者が技術の進化するペースを過小評価している可能性も高いと、調査内では指摘されている。調査に関わったデューク大学医学部精神科教授のMurali Doraiswamy氏は「AIを、機械 対 ヒトの戦いとして考えるのはやめる時期だ」と語る。