南カリフォルニア大学の研究チームは、自殺を未然に防ぐ「ゲートキーパー」として訓練可能な個人を特定するAIアルゴリズムを開発した。ゲートキーパーはWHOが推奨する自殺予防への介入手段として知られ、コミュニティにおいては特にその存在が有効となる一方、誰を訓練すべきかが大きな問題となってきた。
インドメディアMintが報じたところによると、研究チームは、現実のソーシャルネットワーク情報を活用し、ゲートキーパーとして訓練するのに最適な個人を特定するAIアルゴリズムを開発したという。研究者らは「多くの人と関わる人物がゲートキーパーとして最適とは限らない。つまり、例えば大学においては教授は多くの学生と関わりを持つが、ソーシャルネットワークにおける密な関わりとは言えない。むしろハイリスク者とより密接に関係する学生や、その他の人々を訓練することにこそ意義が生まれるかもしれない」とする。
米国疾病予防管理センター(CDC)の報告では、10-24歳の自殺率は2007年から2017年の間に、約56%の増加をみるなど社会問題として深刻化している。地域コミュニティにおいては自殺の予兆に「気づき、受け止め、(継続支援に)繋ぐ」ことのできる人材が求められている。ゲートキーパートレーニングの有用性について多くの研究が示されるなか、「誰を訓練するのか」について、効率的かつ効果的なアプローチをAIが導く可能性が高まっている。