ネットワークに常時接続する車両「コネクテッド・ビークル」(CV)は加速度的に台数を増やしているが、そこに搭載される専用ソフトウェアも巨大市場になることが見込まれ、近年競争が激化している。こういったCVとCVソフトウェアが提供する莫大な随時データを活用し、ディープラーニングテクノロジーによって交差点における衝突リスクをマッピングする研究が進んでいる。
米オハイオ州クリーブランドに本拠を置くケース・ウェスタン・リザーブ大学の研究チームは、学術ジャーナル Accident Analysis and Preventionに同研究における成果を報告した。研究では、774の交差点におけるリスクレベルを年間衝突率から3段階に定義し、CVデータと交通量データから抽出した24の特徴量をもってディープラーニングモデルによって予測するというもの。得られた最適モデルは高い予測精度を示すとともに、従来手法による交通安全評価のためには3年以上のデータ収集期間を必要としたのに対し、このアルゴリズムでは瞬時の評価および周囲車両との警告情報のリアルタイム共有を実現できるとしている。
研究チームは「事前情報の少ない交差点においても適切に衝突リスクを検出し、事故予防に役立てることができる」とする。日本においても、交通死亡事故のおよそ3分の1が交差点で発生する現実があり、直接的に安全性向上に資する先端技術として潜在的有用性が高い。