医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例医療AIがもたらす影響・問題点医療データの不正確性がAIアルゴリズムに与える影響

医療データの不正確性がAIアルゴリズムに与える影響

米カリフォルニア大学サンタバーバラ校などの研究チームは、不正確な医療データがAIに供給された時、アルゴリズムにもたらされる影響とその危険性を調査している。同チームからの最新プレプリント論文を紹介する。

arXivにて公表されたチームの論文“Impact of Medical Data Imprecision on Learning Results”によると、データの不正確さがAIアルゴリズムに与える影響を定量するため、不正確さの程度を制御するパラメータを用いた新しいモデルを設計したという。このモデルは比較実験を行うための不正確なサンプルを生成することができる。研究チームはこれらを利用し、甲状腺機能に関する臨床試験データベースにおいて、不正確データに基づいたトレーニングとテストを繰り返した。結果として不正確データから得られたアルゴリズムは、各種ホルモンレベルを「異常に低く、あるいは異常に高く」のいずれにも予測し、元データ次第で容易に不安定な結果を導くことを示した。

結果自体は極めて自明に見える一方、研究チームは「アプローチをより一般化することで不正確さを考慮に入れた堅牢なモデルの構築が可能」であることを指摘し、成果の重要性を強調する。MITの研究者であるLeo Anthony Celiらは過去に「AIの可能性は広く示されているが、実際の医療システムにおいては、AIへの熱量を大幅に下げて取り扱うか、あるいはデータインフラストラクチャに大規模投資して真っ向から取り組むかだ」と述べるなど、元データの信頼性が医療AIの今後を大幅に左右することに言及している。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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