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Google – スマートフォンカメラから皮膚疾患を識別するAIアプリケーション

Google I/Oは米カリフォルニア州で行われる年次開発者向け会議だが、2021年は5月18日から20日にかけてオンラインで開催されている。この中で18日、Googleは「スマートフォンカメラをかざすことで、皮膚・髪・爪の異常を識別するアプリケーション」についての情報を公開した。

世界20億人が皮膚トラブルを自覚するとされるが、専門家の数は限られ、医療へのアクセスは一定ではない。現代における多くの人々が最初のアプローチとしてGoogle検索を頼ることになるが、言葉だけで適切な説明情報を抽出することは容易ではない。Googleが明らかにしたところによると、このアプリケーションはウェブベースで提供され、異なる角度から3枚の病変画像を撮影した上で、症状についてのいくつかの質問に答えることで、AIアルゴリズムは「皮膚科医のレビューを受けた確からしい情報」を一致する画像とともに提示することができる。ツールはあくまで「信頼できる情報へのアクセス」をサポートするもので、診断や医学的アドバイスを目的とはしていないという。

Googleは昨年から今年にかけ、皮膚疾患識別AIについて複数の価値ある論文を公表してきており(Nature Medicine, JAMA Network Open)、同社AIによる識別精度が専門医と同等であることも示した。GoogleはAIモデル開発にあたり、年齢・性別・人種・肌色などを考慮し、65,000に及ぶ多様な診断済み画像データ、および数百万の疑い画像などを用いている。また、同AIモデルはEUにおいてクラスI医療機器としてCEマーク認証も受けた。これらの技術を一般向けに転用する形でアプリ開発を進め、本年後半の公開が予定されている。Googleの高パフォーマンスAIが、皮膚トラブル解決の支えとしてまさに一般化しようとしている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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