AIはヘルスケアにおける躍進も顕著であり、医療者・患者を問わず、その可能性には大きな期待が抱かれている。世界保健機関(WHO)は28日、「AIの設計・展開・使用の中心に倫理と人権を据えること」を求める新たな指針を公表した。
「医療AIの倫理およびガバナンス」と題されたこのレポートは、WHOが設定した専門家パネルが2年間の協議によって得た成果をまとめたもの。WHOのディレクターであるTedros Adhanom Ghebreyesus氏は「この新しいレポートは、リスクを最小限に抑え、落とし穴を回避しながら、AIのメリットを最大化する方法を各国に提供するものだ」と述べる。レポート内ではAIの有用性に多面的に触れており、特に医療リソースの乏しい国や地域における活用が、医療格差是正に寄与する可能性などを強調している。一方で、AIの健康メリットを過大評価しないよう求めるとともに、健康データの非倫理的収集や使用、アルゴリズムにエンコードされたバイアス、サイバーセキュリティなどの問題点にも言及している。
レポートは一貫して「倫理と人権への配慮」が欠かせない点を各所で指摘し、政府やヘルスケアプロバイダーおよび開発者は、AIテクノロジーの設計・開発・展開のあらゆる段階でこれを重視しなければならないとする。AIによってもたらされる利益を最大化するとともに、不利益を最小化するための有用なガイダンスとして、急速な参照数の増加が続いている。
Ethics and governance of artificial intelligence for health
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