受精胚の染色体情報をタイムラプス画像から評価

不妊治療における体外受精では、受精した胚から細胞を採取して正常な染色体を持つことをチェックする操作過程(PGT-A: Preimplantation genetic testing for aneuploidy)がある。その操作による胚へのダメージリスクを減らす非侵襲的な方法が近年模索されている。

EurekAlert!のニュースリリースでは、欧州人類発生学会(ESHRE)の2021年次総会で発表された「正常染色体を有する胚をタイムラプス画像からAIで識別する研究」が紹介されている。同研究はスペインの生殖医療グループIVIRMAから発表された(Presentation O-084)。タイムラプス(低速度撮影)から得られる画像情報に基づき、AIアプローチによって細胞活動を定量化することで、胚の染色体情報について「侵襲的な細胞生検と同等に評価できる可能性」が示された。現状では正常と染色体異常の識別は73%程度の感度と特異度という。

これまで検討されてきたその他の非侵襲的な手法としては、胚が発育する培養液を分析するものがあった。同研究の責任者であるMarcos Meseguer氏は「私たちのタイムラプスによる手法は識別能力としてはまだ限定的だが、培養液から遺伝子を解析する従来法に比較して、迅速で経済的にも優れている」として、不妊治療に臨む患者にとって治療のタイムラグと金銭的負担を軽減できる可能性を強調している。

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