ドライアイ診断のための緒検査には、一貫性の不足や、侵襲的で刺激があることが課題となってきた。近年眼科領域で実用化が進む、光干渉断層撮影(OCT: Optical Coherence Tomography)にAIを用いた手法によって、ドライアイを正確に自動診断する研究が発表されている。
学術誌 Clinical Ophthalmologyに21日付で発表されたのは、米マイアミ大学とサウスフロリダ大学を中心とした研究グループによる「深層学習ベースでOCT検査からドライアイを自動検出する」研究である。同研究で開発されたAIモデルは、ドライアイ診断で最も代表的なシルマーテストや、角膜染色といった従来手法と比較されている。例えば、シルマーテストは目に濾紙を挟み込むことで「濾紙に浸透した水分の距離」を測定し、涙の分泌量を定量する検査だが、眼の刺激はもとより、眼の位置による誤差などで一貫性・再現性が低く、その結果自体も診断を決定的とするには議論の余地が多かった。一方、OCT検査は眼表面の粘着性や、液面の屈曲(メニスカス)を定量化することで、ドライアイをより正確に診断できる可能性が示唆されてきた。結果として、OCT深層学習モデルはドライアイ診断で精度84.62%・感度86.36%・特異度82.35%を達成し、従来検査と比較して有意に優れた精度を示していた。
研究では、角膜領域を専門とした眼科医の診断を基準としており、その診断とOCT深層学習モデルが強い相関を持つことが確認できた。著者らは「ドライアイ診断に深層学習を適用し、従来検査と比較した研究としては初めてのもの」と謳う。研究グループでは、医療従事者の監督なしにドライアイのスクリーニングプログラムのツールとして利用されるようになることを期待し、モデルの精度をさらに高めていくことを計画している。
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