Philipsはこのほど、ビル&メリンダ・ゲイツ財団から1540万米ドル(約17.6億円)の助成金を受けたことを公表した。これにより低・中所得国、特に「適切な医療サービスの行き届いていない地域」における産科医療の質とアクセスの向上を狙ったAIベースアプリケーションの開発を目指す。
同社が11日明らかにしたところによると、このプロジェクトでは、助産師などの医療従事者が妊娠中の潜在的な問題を早期に発見できるようにすることで、妊娠が原因で死亡する女性の数(現在、世界で約830人/日)を大幅に削減するとともに、胎児の死亡率や重要疾患罹患率の低減を図る。具体的には、既にあらゆるコミュニティベースの母子ケアプログラムで広く使用されている、同社の携帯型超音波診断装置「Lumify」に搭載される新規アプリケーションを開発する予定としている。Philips Foundationは、世界中の恵まれないコミュニティに質の高いヘルスケアを提供しており、例えばケニアでは、助産師を教育して村の診療所における妊婦超音波検診を実施し、離れた場所にいる専門医から遠隔医療支援を受けるプログラムなどを行っている。
Philips Research Americasの責任者であるJoseph Frassica氏は「世界中で膨大な数の女性たちが適切な医療にアクセスできていないが、このような人々に高品質な妊産婦ケアを提供するためAIを用いることは、まさに我々の信念にかなっている」と話す。AIを活用した一連の産科アプリケーションは、第一線の医療従事者がハイリスク妊娠を同定し、これを臨床的に管理することで望まれない転帰を回避できる可能性が高く、新技術とその社会実装への期待は大きい。
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