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シンガポールNUHS – AIシステムの臨床実装を急進

シンガポールにおける3つのナショナルヘルスクラスターの1つ、National University Health System(NUHS)はこのほど、政府が支援するNational Supercomputing Centre Singaporeと協力協定を締結し、2022年半ばまでに公的医療機関におけるAIプログラムを支援する「スーパーコンピューティング・インフラストラクチャ」を構築することを明らかにした。

NUHSが3日明らかにしたところによると、PRESCIENCEと呼ばれるスーパーコンピューティング・インフラストラクチャは、患者個々の病状変化を予測し、深刻な変化が起こり得る可能性を事前に医療者にアラートするAIモデルを構成する。NUHSの最高技術責任者であるNgiam Kee Yuan博士は「ビッグデータを使ってAIモデルを訓練するには通常数日かかるが、この新しいスーパーコンピュータを使えば、トレーニング時間を数時間に短縮できるとともに、医療スタッフやパラメディカルスタッフによる患者管理を最適化することで、本質的なケアの質を向上させることができる」と述べる。

NUHSは通信大手のSingtel社とも提携を公表しており、同機関内の手術室や病棟にマルチアクセスのエッジ・コンピューティング機能を備えた5G屋内ネットワークを展開するなど、AIを核とした医療のデジタルイノベーションを急速に推し進める。アジアにおける先進事例のひとつとして、今後の成果にも期待が大きい。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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