読影医を含み、医療資源が不足する地域に有益となるCOVID-19肺炎自動検出システム「MedCheX」が、オンライン上で無償公開されている。台湾の国立成功大学(NCKU: National Cheng Kung University)のコンピュータサイエンス/情報工学部の蔣榮先教授が率いる研究チームによって、同システムは開発された。
MedCheXは、ディープラーニングベースの画像認識モデル 「ResNeXt」と「Feature Pyramid Network(FPN)」を組み合わせ、COVID-19肺炎の有無を自動検出するシステムとなる。NCUKのリリースによると、検出精度は最大92%に達するとのこと。元来、同システムは2020年にWHOが主催したオンラインコンペ「Build for COVID19 Global Online Hackathon」における受賞プロジェクトのひとつである。
Taipei Timesのインタビューによると、MedCheXがオンラインで公開されて以来、61か国のユーザーがこのシステムを利用しているという。チームには複数の多国籍企業から「技術を取得してMedCheXを商業化したい」というオファーもあったが、チームはシステムを「donate(寄付)」して世界中の医療関係者が無償でサービスを利用できるように決断した。COVID-19対応力をめぐる国際間格差が話題となるなか、MedCheXのような情熱と善意に支えられたAIシステムは、先行き不透明な情勢に対してひとつの灯明となる。
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