オーストラリアのビクトリア州メルボルンに所在する、ピーター・マッカラムがんセンターとスウィンバーン工科大学はこのほど、遺伝性疾患患者向けのAIプラットフォーム開発を目指す新しいプロジェクトを公表した。
「GENIE」と呼ばれる、この新しいクラウドベースプラットフォームでは当初、遺伝性のがんや心血管疾患を患う患者向けに、専門医の検索支援、疾患に関する専門知識の補助、心理的サポート、臨床試験の最新情報、などを提供する。その後2年間をかけて、遺伝カウンセリング上のハイリスク患者を特定するアルゴリズムや、治療アドヒアランスが不良となる患者集団を検出するアルゴリズムなど、遺伝性疾患に特有の課題解決を目指したAIツールの開発と、プラットフォームへの統合を進める。また、GENIEにおいて収集される臨床データは、Clinical Genetic Service(CGS)の遺伝データベースにシームレスに統合される予定という。
本プロジェクトが特徴的であるのは、アカデミア主導の医学的プロジェクトでありながら、GENIEの商業化を重要視している点で、「市場分析を経た有効なビジネスモデルの構築」を計画の柱に据えている。スウィンバーン工科大学のPrem Prakash Jayaraman氏は、「AIベースのデジタルヘルスプラットフォームは、遺伝子変異データと高度なAIアルゴリズムを用いて、リスクのある個人を自動的に特定し、価値ある早期介入を実現することができる」と述べている。
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