医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例医療システム・医療問題へのAI活用事例MedAnswer Assist - 医療コールセンターの患者情報取得を支援するAIツール

MedAnswer Assist – 医療コールセンターの患者情報取得を支援するAIツール

患者からの問い合わせに最初に接するオペレーターは、医師・看護師ではなくとも緊急性を判断して情報を取り次ぐ必要がある。遠隔医療プロバイダーの米TriageLogic社は、オペレーターが患者の状態確認に適切な質問ができるよう支援するAIツール「MedAnswer Assist」を提供している。

TriageLogicの発表によると、MedAnswer Assistは患者からの問い合わせをテキスト分析し、ユーザーに適切な質問を促すことで、医療者に取り次ぐべき情報を適確に記録できるようにする。患者の訴えには、発熱や胸痛など緊急性を判断しやすいものもある一方で、リフィル処方の希望の際など自身の緊急性に気付いていない場合や、オペレーターが追加の質問をするべきタイミングが分からないこともある。そのような際にMedAnswer Assistが促した適切な質問によって、引き継ぎ情報の不足や緊急ケースの見逃しを防ぐことができる。

米国の医療コールセンターでは1ヶ月間に約1億通のメッセージが医師・看護師に伝達され、そのうち2000万件が緊急ケースとの試算もある。TriageLogicの検証では、MedAnswer Assistによって緊急メッセージの伝達精度が30%向上したとし、これは米国全体で換算すると600万件の緊急ケースへの対応改善に相当する。同社は技術の導入により、適切なトリアージや救急医療費削減に貢献することを期待している。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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