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AIバーチャルアシスタントによる地域ケア向上プログラム

テルアビブとニューヨークに本拠を置くヘルステック企業「MyndYou」について以前に紹介した(過去記事)。同社はAI搭載バーチャルケアアシスタント「MyEleanor」によって、患者の健康状態の変化を検知し、医療チームに問題を報告、受診予約を立てるなどの機能を独自プラットフォーム上で提供している。

MyndYouのリリースでは、同社とニューヨーク=ブロンクス拠点の医療機関 Essen Health Careとの提携による、「MyEleanor利用で患者とのつながりを強化するプログラム」を紹介している。Essenの救急医療センターを直近で受診した患者や、慢性疾患患者に対し、MyEleanorが電話連絡で情報収集を行うものである。Essenのスタッフのみでは困難な、時間当たり数百件、一日当たり数千件レベルの電話問い合わせのなかで、MyEleanorは患者の会話内容の変化を分析し、服薬不履行や転倒リスクといった健康問題の可能性を捕捉し、ケアチームに警告を発する。プログラム開始から数ヶ月の結果として、MyEleanorからのコールの12%が臨床的処置につながり、20%が診察予約に結びつき、5%が退院後プログラムに紹介され、12%が医療機器・消耗品の配送調整に至ったという。

Essen Health Careが展開するブロンクス地域では、患者の多くが経済的に恵まれない状況にあり、多数はスペイン語しか話せないなど、地域固有の背景もある。MyEleanorは英語とスペイン語の両方で通話を行うことができ、翻訳者の必要性も軽減したという。プログラムは「患者と医療従事者のコミュニケーションチャンネルをオープンにすること」を目標とし、コミュニティにおける効率的なケアを達成しようとしている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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