STANDING Together – 新たな医療AI基準の公表

英バーミンガム大学の研究者らが主導するSTANDING Togetherから導かれた勧告は、患者や研究者、医療専門家、業界専門家、規制当局など、58カ国から350人以上が参加した2年間の調査研究の成果となる。

STANDING Togetherの提言は、AIシステムが使用されるであろう人々の多様性が、健康データセットに表現されることを保証するもの。AIシステムは「データセットに適切に表現されていない人々」にとってうまく機能する可能性が低く、有害でさえあり得る。現状、マイノリティグループに属する人々は、特にデータセットに十分に反映されていないケースが多い。

勧告は、年齢や性別、人種、民族、その他の重要な特徴などの詳細を収集し、これについてのガイダンスを提供している。また、AIシステムの開発者がその目的に最適なデータを選択できるよう、データセットの限界を透明性をもって報告すべきであると勧告している。さらに、医療AIシステムが使用される際に被害を受ける可能性のある人々を特定し、このリスクを低減できるようにする方法についても示されている。

主任研究者のXiaoxuan Liu氏は、「AIモデルはデータによって支えられており、データには豊富な情報が含まれる。健康データを扱う場合、この情報には残念ながら既存の健康格差が含まれることがある。このような不平等は、特定の集団の代表性欠如や、社会における構造的バイアスの反映など、さまざまな形で生じ得る。新しいイノベーションを見据えたデータ利用には、あらゆる偏りを認識し、それらを説明することが欠かせない」と述べている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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