生成AIによる「胸部X線解釈」

米ノースウェスタン大学の研究チームは、胸部X線写真の解釈において放射線科医と同等かそれ以上の精度を発揮する生成AIツールを構築した。研究成果はこのほど、JAMA Network Openから公開されている。多忙な救急部を支援し、オンコールの放射線科医がいない環境で働く臨床医に、有効なガイダンスを提供するように設計されているもの。

研究者らは90万枚の胸部X線画像とその放射線科レポートを活用し、このツールを構築した。画像上の臨床所見を正確に識別し、高品質のレポートを出力するこのツールは、実際にノースウェスタン大学の救急部で撮影された胸部X線画像500枚を用いた試験においても、専門医と遜色ない精度を示した。また一部のケースでは、放射線科医が見落とした所見を特定するケースも確認されている。

著者らは「この種の生成AIモデルが胸部X線レポートの作成に使用されたのは今回が初めてである」と主張するとともに、救急部におけるAI支援という「極めて現実的な臨床ユースケース」において有効性を示したことの価値を強調する。チームは、本ツールをリアルタイム利用した際の有効性についても評価を開始するとともに、MRIや超音波など、他画像種に技術を拡張する可能性についても検討を進めている。

参照論文:

Generative Artificial Intelligence for Chest Radiograph Interpretation in the Emergency Department

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