米軍の現役軍人・退役軍人のいずれにおいても、軍務を経た心的外傷後ストレス障害(PTSD)が課題となってきた。PTSDは社会的・経済的・精神的負担が大きいにも関わらず、米食品医薬品局(FDA)の承認した治療薬はパロキセチンとセルトラリンのわずか2種と、治療オプションに乏しい現実がある。PTSDの薬物治療プログラムを前進させるため、AiCure社は米国防保健局(DHA: Defense Health Agency)と連携し、「AIプラットフォームに基づく軍人に対する個別最適化PTSD治療」の構築と評価を行うことを公表した。
展開されるPTSD薬物治療プログラムは、12週にわたって各治療レジメンの効果を評価するもので、服薬遵守を指導するプラットフォームと、患者の治療反応を捉えるデジタルバイオマーカー技術から構成される。本プログラムでは、患者の音声および映像データをデジタルバイオマーカーとして取得し、感情表現や身体活動、会話パターンの変化を検出する。その結果、患者ごとでの適切な治療プロセスの特定、治療効果が乏しい際のタイムリーな臨床医による介入、などを可能とすることが期待される。
AiCure社のCEOであるEd Ikeguchi氏は「個々の患者ニーズに合わせたPTSD治療は今日まで最大のアンメットニーズのままだが、AIが精密医療を推進する可能性を秘めている。本プログラムによる革新的な試みは、『数十年間ほぼ停滞したままのPTSDケアの筋書きを書き換える』という我々の志を示すものだ」と語った。
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