情報量に圧倒される医療者の現状

医学知識の総体は日々、指数関数的な拡大を続けている。プライマリケアにおいて最新のガイドライン全てに準拠した診療を行うと、医療者1人当たり「1日26.7時間の業務時間が必要」と試算した研究もある。

米国医師の80%が登録する医師専用SNS「Doximity」が発表した最新のレポートでは、現代の膨大な医学知識に向き合う「医師の学習嗜好」についてまとめている。600名の医師を対象にした同調査によると、調査対象の医師の95%が「患者転帰の改善に役立つ最新の臨床試験・治療・処置に関心を持っている」とする。しかしその一方で、68%の医師は「追いつく必要のある情報量に圧倒されている」と回答していた。

Doximityは自社サービスの情報配信機能によって、情報量と学習時間のギャップ解消に取り組む。デジタルプラットフォームは、利便性の一方で時に情報量を過剰にする「諸刃の剣」ともなり兼ねない。医療者の生産性を高め、燃え尽きを防ぎ、患者により良い医療を提供するためには、情報のバランス・フィルタリングに関する技術が求められている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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