ChatGPTをはじめとする最新のAIツールは、健康管理の民主化をさらに推進する可能性を秘めている。しかし、これらのAIツールを少数民族の健康管理に利用する際、既存の格差を広げる可能性があるとの懸念を、英レスター大学およびケンブリッジ大学の研究者たちは示唆している。
Journal of the Royal Society of Medicineから公開された研究では、AIモデルのトレーニングにおける少数民族データの欠如や研究参加者の不足を指摘している。さらに、AIモデル開発が主に行われている高所得国と、低中所得国(LMICs)との間で健康格差が広がることに関する懸念も示されている。公表されている研究の大部分では、LMICs特有の健康問題への配慮は後回しになっており、全く異なる集団のデータに基づいた助言がLMICsの人々に提供されるリスクがあるとする。
研究チームは、健康格差を克服するための解決策として、AIモデル開発に使用するデータの明確な説明、被験者募集の改善、民族情報の記録、といった手法を提案している。論文の著者であるレスター大学のMohammad Ali氏は、「公表済みの研究に既に偏りが存在するならば、将来のAIモデルはそれらの偏りを保持し、さらに拡大させるリスクがある。進歩を止めることは出来ず、止めるべきでもないと認識した上で、我々は慎重に行動しなければならない」と語った。
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