医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例医療AIがもたらす影響・問題点赤ちゃん用ウェアラブルデバイスが親の不安を増大させる?

赤ちゃん用ウェアラブルデバイスが親の不安を増大させる?

心拍数と酸素飽和度のモニタリングなどを通し、赤ちゃんの動きと睡眠の分析を行えるAI関連のウェアラブルデバイスは一般的になっている。乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)という、予兆なしに突然死に至る原因不明の症候を心配しデバイスを使用するケースは増えている。

米メディアHealthlineによると、一見有用に思える乳幼児へのデバイス使用が、逆に親の不安を増大させていると専門家が警告しているという。The Journal of the American Medical Association: JAMA収載のレビューでは、乳幼児へのデバイス使用はSIDSのリスクを減らすことが明確には示されていないこと、無呼吸がSIDSのリスク増加と相関しないことなどが指摘されている。

スタンフォード小児保健小児科協会のGowan博士は、JAMAのレビューに同意し「モニターが注目されるのは成人の睡眠時無呼吸症候群に対してです。呼吸器リスクの高い患児などには実用的な面があっても、健康リスクの低い一般家庭の乳幼児への使用はただ親の不安を増すだけです」と述べる。SIDSを減らすことが知られる『安全な睡眠』、つまり適切な仰向け姿勢や、不必要な寝具や玩具を置かないなど、確実な予防策を親に教育する重要さを強調している。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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