パリ第5大学の研究チームは、慢性疾患の治療を受けている患者1000名に対して「AIに対する意識調査」を行なった。医療におけるAIの進展は著しいが、これに反し、当の患者間では新技術に対する期待感ばかりでないことが明らかになっている。
Health IT & CIO Reportが報じたところによると、「サイバーセキュリティやプライバシー問題による弊害が新技術による利益を上回る」と答えたのは3%にとどまる一方、35%もの慢性疾患患者が「AIを利用したデバイス、治療オプションの一部を拒絶する」と述べたという。ここに例示された医療AIは、皮膚がんスクリーニングアルゴリズム・増悪予防のモニタリングシステム・リハビリ目的のスマートスーツ・救急電話窓口におけるAIチャットボットの4つである。さらに20%の患者は、4つの医療AI全ての利用を拒絶する旨を明らかにしたとのこと。
特に予防・診断領域において、AIは革新的なブレイクスルーを引き起こすことが大きく期待されている。企業・アカデミアを問わず医療AI開発が加速するなか、ヘルスケアの中心にいる患者たちは必ずしも前向きであるばかりではない。説明可能な方法で頑健に構築された妥当性と、責任の所在を含む医師-AI関係の明確化が、いま強く望まれている。