飼い猫であっても、ネズミをはじめとした小動物への捕食本能は必ずしも揺るがない。多くの動物に感染する原虫「トキソプラズマ」は、猫に感染した場合のみ、その糞便中に虫体を含むオーシストとして排泄され感染性を持つ。
Amazonのある社員が興味深いAIアルゴリズムを開発し、話題を呼んでいる。BBCの報道によると、猫の捕食本能を抑制するため、AIを用いた画像認識により口に獲物を加えた状態ではキャットフラップ(ドア下部に取り付けられた猫用の通路)が開かないシステムを構築したという。23000枚に及ぶ飼い猫の画像を開発者自身で分類し、「獲物を加えた状態」「加えていない状態」など、状況別にアルゴリズムに学習させた。
開発者の主眼は「猫に殺傷を行わせない」ことにあるが、特に妊娠可能性のある家庭などにとって感染症予防の観点からも有用となる可能性がある。経胎盤感染によって引き起こされる先天性トキソプラズマ症は、胎内死亡や流産、水頭症などの原因ともなる。このシステムでは、外で獲物を食べてしまう癖がつけば本質的に無意味だが、感染症予防の観点からは、家庭に動物の死骸を持ち込ませないメリットも少なくない。ただし、十分な手洗いと猫の糞便処理では手袋を着用するなど、一般的な対策が最も有効であることは言うまでもない。