会話音声から不安やうつを識別するAIアルゴリズムについては、各所で実用化の機運がある(過去記事)。商用レベルで業界を先行するEllipsis Health社は、AIによって音声からうつや不安症状を定量化するモバイルアプリ「Rising Higher」の一般提供を発表している。
PRNewswire掲載のプレスリリースによると、Rising Higherはクラウドベースの機械学習アルゴリズムで患者音声データからの自然言語処理とトーン解析を行い、うつ・不安といった健康状態を定量的に評価する。リスクの高い患者集団を遠隔でモニタリングし、バイタルサインの一種として医療者は臨床意思決定に活用できるようになる。アプリはApple StoreとGoogle Playで利用が開始されており、サードパーティ製アプリとの統合も可能である。
CDC(米疾病予防管理センター)のパネル調査では、COVID-19のパンデミック下では不安障害や抑うつ障害の症状を含んだ精神的・行動的な症状報告が2019年の同時期と比較して増加傾向にあるという。Ellipsis Healthの共同創設者 Michael Aratow博士は「現状の医療システムでは患者の自己申告や医療者の認識に大きく依存し、うつや不安の患者における治療開始が遅くなります。音声ベースのバイタルサインを利用し、支援を必要とする患者の早期特定と、長期的な精神状態の把握が可能になります」と語った。